【新唐人2014年8月20日】党員の腐敗などを取り締まる中央巡視チームが最近、中国各地に派遣されています。先日、江蘇省の複数の市民が巡視チームに直訴したあと、報復と見られる激しいリンチに遭いました。
中央巡視チームは7月29日から上海市、山西省、江蘇省など10か所に派遣され、2か月間にわたり、地方幹部の腐敗などについて査察します。これを受けて地方政府は、市民が巡視チームに直訴するのを防いだり、直訴した者にはマフィアなどを使い、激しいリンチを加えたりしました。
江蘇省徐州市に住む60代の男性、劉桐林さんが1日、南京市の巡視チームに直訴したところ、12日に地方政府に呼び出されました。劉さんは以前、競り落とした野菜・果物の加工工場を地元政府の官僚に乗っ取られたため、1000万元の投資が無駄になりました。長年、陳情していますが、らちが明きません。
江蘇省徐州市 劉桐林さん
「車で行ったら、すぐ車で尾行されました。のどが渇いたので、途中で車を降りたら、尾行していた車が私の車の前に止まりました。そして2人が降りてきて、殴りかかってきました。マフィアのやり方です。彼らは殴りながら、『直訴などしやがって』と言っていました」
劉桐林さんによると、2人は70~80センチのこん棒で強く殴ってきました。マフィアそのものだと感じたそうです。
江蘇省徐州市 劉桐林さん
「頭を殴ってきたので、腕でかばったら、左腕3か所と左足を骨折し、ひざの靭帯も断裂しました。我々を障害者にする気です」
劉桐林さんは地方から専門家を呼び、手術をしてもらうつもりですが、手術が成功しても、足の機能は70~80パーセントしか戻りません。失敗すれば、足の機能は完全に失われます。
大陸のサイト「六四天網」が16日に報道したところによると、江蘇省徐州市の73歳の女性、劉道蘭さんも11日、同じようなリンチに遭い、左足のひざから下を複雑骨折しました。まだ病院で治療中です。
江蘇省徐州市 劉桐林さん
「彼女の娘は派出所に呼ばれ、翌日 穴で遺体となって見つかりました。彼女は死因を知るために陳情したら、精神病院に送られました。今回 巡視チームに直訴したら、リンチに遭いました」
劉道蘭さんの息子が16日、ラジオ・フリー・アジアに明かしたところによれば、劉道蘭さんは30代の男から足を中心に殴られました。ようやく危険を脱したところだそうです。
大陸の権利擁護サイト「権利運動」が8日、報道した内容によると、中央巡視チームが南京市に入ったあと、8月1日、江蘇省鎮江市の立ち退き被害者で陳情者の豊志平さん夫婦がマフィアの監視に遭いました。夫婦が買い物に行こうとしたところ、マフィアに道をふさがれ、豊志平さんは激しい暴行に遭いました。このほか、巡視チームに直訴しに行く途中で阻まれた市民もいます。
天網人権事務センター・責任者 黄琦さん
「中央巡視チームが民衆の直訴を受け入れれば、地方幹部の問題が暴露されます。北京に陳情しても無駄なので、民衆は巡視チームへ陳情を始めました。地方幹部はこれを恐れます。多くの官僚は査察の前に、党内で何か聞かれているはずです。彼らは大きな危険を感じて、一か八かで直訴した民衆をリンチしました」
しかし黄琦さんは、暴力で彼らを屈服させられないと語ります。
天網人権事務センター・責任者 黄琦さん
「この報復行為から民衆が中央に直訴すると、既得権益集団に弾圧されると分かります。しかし暴力では何も変えられません。直訴した民衆が襲われても、別の民衆がまた立ち上がります。それに、こんな事件が起きれば、社会もこの問題に注目します」
黄琦さんは、巡視チームによる査察は腐敗官僚への威嚇作用があるとはいえ、巡視チームと会談をした成都市の陳情者によれば、実質的な効果は薄いと語りました。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2014/08/19/a1131460.html(中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/水田 映像編集/李)